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シンポジウム発言要旨

九州大学工学研究院教授 松下博通

(1)公共工事の品質確保に向けての産学官の取り組み

松下 博通

 公共工事の品質確保のため、全国に先駆けて、九地整が総合評価方式を実施したことは評価される。しかし、落札状況や施工実績などから判断して、問題点もあり、更なる改革が必要であると考えられる。
まず、工事の品質とは、どのようなものか? 施工中・完成後の周辺環境への配慮、耐久性などは当然、考慮されるべきものであるが、今後は「美しい国土」、「安全にして安心できる生活」、「豊かな社会」を創造するための品質についても、考慮されるべきである。また、品質を確保するための技術評価項目と評価方法については、企業評価と技術者評価の相違、技術提案内容を評価できる技術者の不足などの問題点があげられる。さらに、予定価格とは、何なのか? 低価格入札による受注は後を絶たないが、予定価格を大幅に下回るような受注額では品質確保への努力が行われているか、疑問が残る。
次に、九地整では、新設構造物の長寿命化を目指し、土木コンクリート構造物の設計・施工指針を試行中であるが、耐用年数の評価、温度ひび割れ指数の評価などについては技術力が十分とは言えない。また、長寿命への方策に対して、企業や関連会社の認識が低く、実行に際しての社会の実情とのかい離がある。

(2)産学官各々の立場での建設技術者の育成方法

 これまでの大学では、「工学を教えること」や細分化された専門知識を修得することが重要視されてきたが、これからは、公平・公正な競争が行われる中で、「人を育てること」や、グローバルな観点から判断できる技術者としての素養を身につけることが求められている。このため、技術者倫理や各種のシステム論を講義に取り入れ、細部の専門技術に対する教育は減少している。従って、実務を学ぶためのインターンシップ制度の充実や技術の伝承に関わる教育が求められており、産学官が協働して技術者の育成をはかる必要がある。現状の大学では、社会人ドクターなどの研究者育成教育は実施されているが、基盤技術分野における技術者の育成などが必要であり、新たなセンターの設置やセミナー、ワークショップなどを通じた生涯教育の実施などに対して、社会からの理解も求められる。




 

主催 九州建設技術フォーラム実行委員会  

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